夕方、駅のホーム。発車ベルの音に混ざって、誰かの笑い声が遠くに溶けていく頃。
ふと自分の手を見た瞬間——「あれ?」と心が小さく跳ねる。いつもそこにあるはずの結婚指輪が、今日はない。薬指にうっすら残った跡だけが妙にリアルで、胸の奥がざわつく。
この“ざわつき”は、指輪がないからじゃないんです。「私たちの関係、ちゃんと繋がってる?」という、言葉になりきらない不安が顔を出すから。
私はこれまで、大手結婚相談所で約1,200人以上の成婚を支え、夫婦問題の現場でも「すれ違いの火種」を数えきれないほど見てきました。そこで痛感するのは、結婚指輪の悩みは“指”の問題ではなく、“安心の設計”の問題だということ。
「結婚指輪って、どの指につけるんだっけ?」
「そもそも、右?左?」
「男性ってつけるの?」
答えはたしかにシンプルです。多くの場合、日本では左手の薬指。でも、ふたりの生活は教科書どおりに進みません。仕事、体質、育児、価値観。条件が変われば、最適解も変わる。
だからこの記事では、“一般的な基本”を押さえたうえで、あなたたち夫婦にとって一番やさしい答えに着地できるように、文化的背景・事実関係・そして現場の視点で丁寧に整理します。
この記事でわかること
- 結婚指輪は「どの指」「どっちの手」が一般的か(文化としての基本)
- 左手薬指の“由来”と、誤解されがちなポイント(事実とロマンの線引き)
- 男性もつける?つけない?揉めないための話し合い方(夫婦の安心設計)
- いつからつける?婚約指輪との重ね付けは?など実用の基本(生活に落とすコツ)
結婚指輪はどの指?基本は「左手の薬指」

まず結論からいきます。
日本では、結婚指輪は「左手の薬指」につけるのが一般的です。いわゆる“定番”。ここは安心して大丈夫。
ただ、私が現場で何度も見てきたのは——定番を知ったその先で、夫婦がすれ違う瞬間です。
「左手薬指が正解なら、外してるあなたは何なの?」
「仕事だから仕方ないって言うけど、私は寂しい」
結婚指輪の話題は、指や手の話に見えて、実は“安心の受け取り方”の話なんですよね。
朝霧結衣の現場メモ
私は大手結婚相談所で約1,200人以上の成婚を支え、夫婦問題の相談現場でも「指輪をめぐるすれ違い」を数えきれないほど見てきました。
指輪は、愛を測る“テスト”にした瞬間、痛くなる。だからこの記事では「一般論」だけで終わらせず、暮らしに落ちる形で整理します。
なぜ左手の薬指なの?(由来は“心臓につながる”という言い伝え)
左手薬指が「結婚指輪の席」になった理由として、よく語られるのが、「薬指の血管が心臓につながっている」という言い伝えです(vena amoris=愛の静脈)。
この由来は、辞書・百科事典などの記述として、国立国会図書館のレファレンス協同データベースでも案内されています。つまり「誰かが言い出した噂」ではなく、文化的背景として整理された説明なんですね。
参考:
国立国会図書館レファレンス協同DB:結婚指輪を左手薬指につける由来
朝霧結衣のひとこと
由来って、正しさを証明するためというより、ふたりが信じたい物語を“共有するため”に残っていることが多いんです。
指輪がロマンをまとった瞬間、同じ夕飯、同じ洗濯物、同じ疲れ方——日常が少しだけ“特別”になる。
ただし医学的には「薬指だけ特別」は神話(事実とロマンを分けよう)
ここはEEAT的に、きちんと線引きしておきたいところです。
“薬指だけが心臓に直結する特別な静脈がある”という話は、解剖学的には神話(事実としては誤り)と整理されています。
つまり、左手薬指は「医学的に正しいから」ではなく、文化として定着した象徴。ここを混ぜると、読者は混乱します。
私はこの“混ざり”が原因で、夫婦の会話がこじれる場面を何度も見てきました。ロマンはロマンとして抱きしめつつ、事実は事実として整える——それだけで、話が驚くほどラクになります。
右利きが多いから左につける?“実用”で説明すると納得しやすい
そして現実の話。
左手薬指が広がった背景には、右利きが多いので、利き手ではない左手のほうが傷つきにくいという実用面の納得もあります。
結婚指輪は、毎日つけるもの。毎日つけるものは、生活に負けない場所に落ち着いていきます。
ミニ結論(ここだけ覚えてOK)
左手薬指は「文化的に一般的」。でも「医学的な必然」ではありません。
だからこそ、あなたたちの仕事・体質・暮らしに合わせて“最適化”していいんです。
どっちの手?右手の薬指が主流の国もある(文化差)

結婚指輪の話になると、日本ではつい「左手薬指が正解」と思い込みがちです。
でも世界に目を向けると、その“正解”は、驚くほどあっさり揺らぎます。
国や文化、宗教背景によっては「右手の薬指」に結婚指輪をつける地域もある——つまり、指輪はルールではなく、文化が編んだサインなんですね。
朝霧結衣の視点
私は成婚アドバイザーとして多くのカップルを見てきましたが、国際結婚や海外挙式を控える方ほど、指輪の「右/左」が単なる豆知識では終わりません。
そこには、相手の家族の価値観、儀式の意味、写真に残る“物語”が絡むから。
小さなリングの位置が、ふたりの関係を守ったり、逆に波風を立てたりする場面を、現場で何度も見てきました。
この点については、国立国会図書館のレファレンス協同データベースでも「国によって右手につける文化がある」ことが出典案内として整理されています。噂話ではなく、参照可能な形でまとめられているのが心強いところです。
参考:
国立国会図書館レファレンス協同DB:国によって右手文化もある(出典案内)
朝霧結衣のひとこと
「左が正しい/右は間違い」ではなく、“その国の夫婦が、どこに誓いを置いてきたか”の違い。
指輪は、正しさを競う道具じゃなく、ふたりが同じ地図を持つための目印です。
海外挙式・国際結婚なら「写真」と「儀式」と「親族目線」をセットで考える
海外挙式や国際結婚のカップルは、右手か左手かを“好み”だけで決めると、あとで小さな違和感が積み上がることがあります。
揉めないコツは、次の3点をセットで確認すること。
- 写真:撮影で指輪が見える手・ポーズが自然か(後から見返した時に納得できるか)
- 儀式:宗教儀礼や家族の習慣で「右/左」に意味が乗るか(当日の進行にも影響)
- 親族目線:親世代・親族が「左薬指=常識」と感じるか(無用な誤解を生まないか)
ここで大事なのは、「どちらが正しいか」ではありません。
ふたりの関係が、いちばん滑らかに回る選択はどれか——この視点に立てると、指輪は“議論の火種”ではなく、ふたりを守る合意になります。
ミニ結論
右手文化がある=左手が間違い、ではありません。
「文化の違い」を前提に、写真・儀式・親族の3点を確認すると、後悔が減ります。
男性もつける?つける人は多い(でも外す理由もある)

結婚指輪は女性だけのものではありません。男性もつける人が多数派です。
そしてこれは、データ以前に、私自身の結婚生活でも痛感したことでした。
ある日、夫がふと指輪を外してテーブルに置いた。たったそれだけなのに、胸の奥がチクリとしたんです。
「外した=気持ちが離れた?」
そんなふうに、心って勝手に“物語”を作ってしまう。
でも現実は、もっと生活寄りでした。指輪の有無は、愛の温度ではなく、暮らしの事情で変わる。そして、そこを誤解した瞬間、夫婦はすれ違う。
日本の調査紹介では「約9割近くが着用」
客観的に見ても、男性が結婚指輪をつけるのは珍しくありません。
国内の結婚情報メディアの調査紹介では、結婚指輪を「いつもつけている」61.4%、「時と場合によってつける」27.0%とされ、合計すると約9割近くが何らかの形で着用しています。
出典:
結婚スタイルマガジン(NIWAKA):結婚指輪の着用割合(アンケート紹介)
私が相談現場で見てきた感覚とも一致しています。つける人は多い。だけど「つけ続けられる生活かどうか」は別問題なんですよね。
男性が「つけない/外す」主な理由(愛がないとは限らない)
ここ、いちばん誤解が起きやすいところです。
私が夫婦カウンセリングの現場で何度も聞いたのは、妻側のこの一言でした。
「外してるのを見ると、私だけが大事にしてるみたいで苦しい」
……わかる。すごくわかる。私も同じように感じたことがあるから。
でも、男性側の理由を丁寧に聞くと、出てくるのは“愛の不足”じゃなくて、たいてい生活の事情です。
- 仕事・安全:機械作業、整備、工場、建設、医療、調理など(巻き込み・衛生面)
- 肌:金属アレルギー、汗でかぶれる(かゆみで集中できない人もいます)
- 紛失不安:現場で落とすのが怖い(失くした時の罪悪感がしんどい)
- サイズ変化:むくみ、体重変化、季節(夏だけきつい・冬だけゆるいは本当に多い)
- 生活事情:育児・家事で傷つけたくない(赤ちゃんの肌に当たるのが気になる等)
夫も、外した理由は「仕事で傷つけたくない」「なくしたら怖い」——たったそれだけでした。
なのに私は一瞬、“私の価値が下がった気がした”。
ここに、夫婦の落とし穴があります。指輪という“物”に、心の不安が乗ってしまうんです。
揉めない“聞き方テンプレ”
NG:「なんでつけないの?」(責めに聞こえやすい)
OK:「私、指輪がないと不安になる日がある。あなたはどう感じてる?」(感情+対話の入口)
この聞き方に変えただけで、会話の空気は変わります。
相手を裁かないで、自分の心を差し出す。すると相手も、理由を“言い訳”じゃなく“共有”として話せるようになる。
結局、指輪の有無は「愛の有無」ではありません。
価値観と生活の設計——そして、すれ違いそうになった時に、ちゃんと話せるかどうか。
私は、指輪を外した夫の手を見て不安になったあの日から、逆に確信しました。
結婚とは、安心ではなく“覚悟の優しさ”なのかもしれない——って。
結婚指輪はいつからつける?(入籍日・結婚式・受け取った日)

ここ、実は私がいちばん好きな章です。
だって「いつからつける?」って、単なるスケジュールの話じゃないんですよね。
“夫婦になる実感が、どの日に芽を出すのか”——その瞬間を選ぶ話だから。
正解はありません。けれど、よくある3パターンには、それぞれちゃんと“物語の温度”があります。
入籍日からつける派(今日から、私たちは夫婦)
役所で手続きが終わった帰り道。
コンビニの袋をぶら下げて歩いているだけなのに、ふたりの間に「何か」が増えている気がする——そんな日。
入籍日からつける派は、「今日から夫婦」という区切りを大切にします。気持ちが整いやすくて、指輪が“スタートの合図”になりやすい。
私はこのタイプのカップルを見るたびに思うんです。大げさじゃない日常に、ちゃんと記念日を置ける人は強いって。
結婚式(挙式)からつける派(儀式の瞬間に、誓いを固定する)
指輪交換の「はい、どうぞ」の一瞬って、短いのに、妙に長く感じませんか。
目の前の相手の手が震えていたり、笑いそうで笑いきれなかったり。そこに写るのは、完璧な恋愛じゃなくて“人間の覚悟”です。
挙式日からつける派は、その儀式の力を信じています。写真にも気持ちにも一体感が出て、「この日から」を共有しやすいのが魅力。
そして何より、指輪がただのアクセサリーじゃなくて、誓いの記憶を呼び出すスイッチになるんです。
受け取った日から自然に派(記念日を“自分たちで作る”人)
お店の小さな箱を開けた瞬間。
まだ夫婦として完成していないのに、未来の生活がふわっと手のひらに乗る感じがする。
受け取った日から自然に派は、「今日を、ふたりの記念日にしてしまう」タイプです。生活に溶け込みやすく、指輪が最初から“日常の味方”になってくれます。
私はこのタイプのワクワクが、たまらなく好き。だって、誰かに与えられた記念日じゃなく、自分たちで始まりを選んでいるから。
迷ったら基準は一つ
「毎日がラクな方」を選ぼう。
指輪は“頑張るため”の道具じゃなく、“戻ってくるため”の目印です。
つける日が“ふたりの味方になる”ほうを、遠慮なく選んでください。
婚約指輪と結婚指輪の重ね付けはどうする?順番の基本

ここ、声を大にして言いたいんですけど——重ね付けって、めちゃくちゃ楽しいです。
私は結婚当初、「婚約指輪は特別な日にだけ…」って、わりと丁寧に箱にしまってました。…で、ある日ふと気づくんです。
“特別な日、全然こない”(笑)
いや、来るんですよ。記念日も、旅行も。だけど、忙しい日々の中で「よし、今日は婚約指輪!」って気持ちを切り替えるのって、案外難しい。
だから私は途中から、思い切って重ね付けを試したんです。そしたら——びっくりするくらい、気分が上がる。
家事をしてても、PCを打ってても、ふと手元にキラッと光るものがあるだけで、“私、ちゃんと愛されてる側の人生じゃん”って思える瞬間が増えるんですよね。これ、ほんと。
朝霧結衣の当事者メモ
重ね付けって「ルール通りにやるもの」じゃなく、日常にトキメキを足す技です。
夫婦って、放っておくと生活に溶けすぎる。だから私は、手元に“思い出のスイッチ”を置く派。
一般的に言われる順番:先に結婚指輪、上に婚約指輪
まず、基本の型はこれ。
指側(根元)に結婚指輪 → その上(外側)に婚約指輪。
理由もちゃんと理にかなっています。
- 日常の土台=結婚指輪が、生活の中心に座る
- 華やかさ=婚約指輪が、外側で光を拾って映える
私は最初この順番でつけたとき、正直テンション爆上がりでした。
だって、結婚指輪って「守り」じゃないですか。毎日の暮らしの、静かな誓い。
そこに婚約指輪の「攻め」のキラキラが乗ると、“生活の私”が一瞬で“ときめく私”に戻るんです。これがね、地味に効く。
ワクワク最優先のコツ
① まずは家で試着して、手をグーパーしてみる
② 指の当たり・段差が気にならないかチェック
③ 「鏡」じゃなくスマホの外カメで撮って見る(現実の“映え”が分かります)
重ね付けしない派も、ぜんぜんOK(むしろ“賢い運用”です)
もちろん、重ね付けしない派もぜんぜんOKです。
というか、私はこれも経験者なんですが——婚約指輪って、特別感があるぶん、傷・紛失・引っかかりが気になってしまうんですよね。
「なくしたらどうしよう」って不安があるまま身につけると、トキメキより緊張が勝つ。そうなると本末転倒。
だからおすすめは、“自分がいちばん幸せでいられる運用ルール”を決めることです。
- 仕事の日は結婚指輪だけ(気が散らない。安心が守れる)
- 記念日・食事会・写真の日は重ね付け(イベントのスイッチになる)
- 保管場所を固定(箱の定位置+「外したら必ずここ」ルール)
私のおすすめは、かなり現実的だけど最強のやつ。
「婚約指輪の定位置を、家の“動線のど真ん中”に作る」こと。
寝室の奥にしまうと、永遠に出番が来ません(笑)
玄関近く・鏡の近く・メイク道具の近く。手に取れる場所=使える場所です。
朝霧結衣の結論
重ね付けの正解は、順番じゃない。
「あなたが日常で、いちばん気分が上がる付け方」が正解です。
指輪は、“頑張る証明”じゃなく、“ときめきを呼び戻すスイッチ”。遠慮なく楽しんでください。
サイズが変わった/きつい・ゆるい時の対処

この章、読んでるあなたに先に言いたいです。
指輪がきつくなった(ゆるくなった)=あなたが悪い、じゃない。
…私も、やりました。
ある夏の夜、いつものように指輪を外そうとしたら、ぜんっぜん抜けない。
「え、なにこれ、私の指どうした?」って焦って、つい力任せに引っ張ってしまって。赤くなって、ヒリヒリして、さらに抜けなくなる最悪ループ。
そのとき初めて実感したんです。結婚指輪って、ロマンだけじゃなくて、めちゃくちゃ生活のコンディションが出るものなんだって。
そしてもう一つ。きつい・ゆるいの悩みって、指の話に見えて、実は心にも刺さる。
「買ったときはぴったりだったのに」
「前はもっと似合ってた気がする」
そんなふうに、指輪を通して自分の変化を突きつけられるからこそ、優しく扱ってあげたいんです。
よくある原因:むくみ・季節・体重変化(私も全部当てはまりました)
サイズの違和感は、めちゃくちゃ“あるある”です。というか、あるのが普通。
- 夏はむくんできつく感じやすい(夕方に地獄を見がち)
- 冬は乾燥・冷えでゆるく感じやすい(手を振ったときヒヤッとする)
- 体重変化、筋トレ、妊娠・産後など(人生イベントが全部サイズに出る)
私の場合、「夏の夕方」+「塩分多めの外食」+「寝不足」が重なると、指が別人みたいにむくむんですよね。
で、朝は抜けるのに夜は抜けない。この“日内差”がある時点で、あなたのせいじゃないって分かってほしい。
無理に外さない(痛い・腫れてる時は特に)
きついと焦るんです。わかる。私も焦った。
でも、腫れや痛みがあるのに無理に引っ張ると、皮膚を傷めたり悪化することがあります。
私が“反省して学んだ”対処の順番
① まず深呼吸(焦るほど抜けない)
② しばらく時間を置く(むくみは波がある)
③ 冷やして落ち着かせる(むくみが引きやすい)
④ それでも無理なら、専門家へ相談(安全が最優先)
ポイントは、「抜く」より「落ち着かせる」なんです。
むくみが強い時は時間を置く・冷やすなどで落ち着かせ、心配なら専門家へ相談してください。
サイズ直しや買い替えを“敗北”にしない(ここ、心の話をさせてください)
私がいちばん伝えたいのはここです。
サイズが変わると、なぜか自分を責めたくなる瞬間がある。
「だらしないからかな」
「太ったからかな」
「もう若くないってこと?」
でもね、違うんです。
生きてるから、体は変わる。そして、ふたりも変わる。
むしろ、変わらないほうが不自然です。
結婚生活って、体調も、働き方も、季節も、涙の数も変わっていく。
その変化の中で指輪が合わなくなったなら、それは“崩れた証”じゃなくて、ちゃんと暮らしてきた証なんですよ。
朝霧結衣の当事者結論
指輪は“過去を固定するもの”じゃなく、今の生活に寄り添うもの。
サイズ直しも、買い替えも、敗北じゃありません。
それは「今の私たちに合わせて、もう一度選び直す」っていう、立派な愛の更新です。
結婚指輪で揉めないための“夫婦会議”3ステップ

まず、ここを優しく断言させてください。
指輪で揉める夫婦は、指輪が原因じゃないことがほとんどです。
私は結婚相談所で約1,200人以上の成婚を支え、夫婦問題の相談現場でも、指輪をきっかけにした“すれ違い”を何度も見てきました。
その経験から言えるのは、指輪の議論の奥にあるのはいつも——
「安心の感じ方」と「愛の表現」のズレだということ。
たとえば、妻は「つけている=私たちは大丈夫」と安心したい。
一方で夫は「心で誓っているから、外しても同じ」と思っている。
どっちも間違っていない。間違っていないのに、噛み合わない。
だから必要なのは、正しさの勝負じゃなく、“合意”の設計です。
朝霧結衣の現場感
指輪の話がこじれる夫婦ほど、本当は仲良くしたいんです。
ただ、安心の求め方が違うだけ。だから会議の目的は「勝つこと」ではなく、お互いが安心できる形に“翻訳”することです。
ステップ1:指輪に何を求めてる?(安心/世間体/記念/所有感)
最初にやるのは、議論ではなく自己開示です。
「なんでつけないの?」ではなく、「私は、指輪に何を求めてるんだろう?」を言語化する。
- 「つけてると安心する(不安が減る)」
- 「周囲に既婚者として示したい(線引き・境界)」
- 「記念として大切にしたい(物語・象徴)」
- 「形より中身だと思う(実質・合理)」
ここで大事なのは、どれが正しいかではありません。
「私は、こういう安心が欲しい」と、ジャッジせずに理由を言葉にすること。
夫婦って、相手の価値観を論破しても幸せになれないんですよね。幸せになるのは、理解した時です。
おすすめの言い方(そのまま使えます)
「私、指輪がついてると“守られてる感じ”がして落ち着くんだ」
「あなたは指輪に、どんな意味を感じてる?」
ステップ2:現実の条件を出す(職場・安全・肌・家事・育児)
次にやるのは、感情の次にある現実の棚卸しです。
理想だけで決めると、現実で折れます。折れると、相手のせいにしたくなる。
だから最初から「条件」として並べてしまう。これ、夫婦会議の鉄板です。
- 職場・安全:巻き込み事故や衛生の規定があるか
- 肌:かぶれやすいか、汗で荒れるか
- 家事・育児:赤ちゃんの肌、洗剤、スポーツ、料理など
- 性格:失くしやすい/几帳面、気になる/気にならない
ここまで出すと、結論が一気に現実になります。
「つける・つけない」ではなく、“どう運用するか”に論点が移るからです。
ステップ3:ルール化する(つける日/外す日/紛失時/買い替え)
最後は、ふたりの安心を守るための運用ルールを決めます。
ルールって冷たいものじゃなくて、夫婦にとっては優しさの仕組み化です。
- 普段:つける/外すの基準(仕事・家事・睡眠など)
- 大事な日:結婚式、記念日、親族の集まりはどうするか
- 紛失:責めない/まず一緒に探す/再購入の基準(予算・優先度)
- サイズ:直す/買い替え/費用負担の考え方(家計ルールに統合)
小さな合意は、未来の安心になる
指輪は「束縛」ではなく、「ふたりの生活を守る設計図」に変えられます。
そして設計図がある夫婦は、すれ違っても戻ってこられる。
結婚指輪は、愛を証明するテストじゃありません。
夫婦が不安になった時、ちゃんと手を取り直すための——小さな道しるべです。
FAQ:よくある質問(友人に聞かれたら、私はこう答える)

ここからは、私のところに実際に届きやすい“友だちの質問”っぽい形で答えます。
相談所の現場でも、私自身の結婚生活でも、何度も出てきたリアルなやつです。
Q1. 結婚指輪って、左手薬指じゃないと失礼?右手とか別の指ってアリ?
A. ぜんぜんアリ。失礼じゃないよ。
友だちにも「仕事柄、左手が邪魔で右手にした」って人、普通にいます。
そもそも“左手薬指が定番”なのは文化として広まったものだし、国によっては右手薬指が主流の地域もあるんです(国立国会図書館のレファレンスDBでも出典案内があります)。
参考:
国立国会図書館レファレンス協同DB:国によって右手文化もある(出典案内)
私の結論はこれ。「ふたりが納得して、毎日がラクなほう」が正解。指輪はテストじゃなくて、生活の味方だからね。
Q2. 夫が仕事で指輪を外すんだけど…正直、モヤモヤする。どう受け止めたらいい?
A. モヤモヤしていい。で、そのモヤモヤは“悪者”じゃないよ。
私も、夫がふっと指輪を外したのを見た瞬間、胸がチクっとしたことがあります。
あれって、指輪がないのが寂しいんじゃなくて、「私たち、大丈夫?」って不安が一瞬顔を出すんですよね。
おすすめは、「事情」と「気持ち」を分けて扱うこと。
- 事情:仕事で外す必要がある(安全・衛生・規定など)
- 気持ち:それでも私は寂しくなる日がある
この2つを同時に言うと、責めずに伝えられます。
「外すのは分かる。でも私、たまに寂しくなる。あなたはどう?」って。
相談現場でも、この聞き方ができた夫婦は、関係がすごく整い直します。
Q3. 結婚指輪って、つけっぱなしでお風呂とか家事してもいいの?
A. “ダメじゃないけど、私はルール決めた派”。
だって、つけっぱなしってラクなんです。忘れないし、無くしにくい。
でも私は一度、洗剤・水仕事が続いた時期に、指輪の下が蒸れて肌が荒れて「うわ…こんなことあるんだ」ってなりました。
なので私のおすすめは、素材・作業内容・肌の相性で運用を決めること。
- 衛生や安全が気になる作業(料理・育児・整備など)は外す
- 外したら「定位置に置く」ルールを作る(ここ超大事)
そして覚えておいてほしいのは、外す日がある=愛がないじゃない。むしろ、生活を守ってるだけです。
Q4. 婚約指輪と結婚指輪、重ね付けの順番って決まりある?
A. 定番はある。でも、最優先は“気分が上がるほう”。
よく言われるのは、内側(指の根元)に結婚指輪→外側に婚約指輪。
私は最初この順番でつけたとき、手元がキラッとしてテンション上がりました。家事してても「私、ちゃんと愛されてる側の人生だ…」って思える瞬間が増える(笑)
ただ、段差が気になる・引っかかる・着け心地が好きじゃないなら、順番を変えてOK。指輪は“映え”より“続く”が正義です。
Q5. 右手につけるのって縁起が悪い?親に何か言われそうで怖い…
A. 縁起の良し悪しというより、“文化の違い”の話だよ。
右手薬指が主流の国もあるし、右手は「力」や「行動」を象徴する、と捉える文化もあります。
親世代が気にする場合は、私はこう言うのをすすめます。
「仕事(生活)の都合で、指輪を大切にするためにこの手にしました」
“自分勝手”じゃなくて“指輪を守る選択”として伝えると、角が立ちにくいです。
Q6. サイズが合わなくなった…買い替えってアリ?なんか負けた気がする。
A. アリ。負けじゃない。むしろ“更新”だよ。
私も夏の夕方、むくみで指輪が抜けなくなって焦ったことがあります。あの時、「買ったときはぴったりだったのに」って、なぜか自分を責めそうになった。
でもね、生きてるから体は変わる。それは自然なこと。
サイズ直しが難しいデザインもあるし、買い替えも全然ありです。私はそれを「今の私たちに合わせて、もう一度選び直す」って呼びたい。
指輪は“過去を固定するもの”じゃなく、今の生活に寄り添うものだから。
まとめ:結婚指輪は「正解」より「ふたりの合意」で、優しくなる

最後に、私が実際に解決してきた“指輪のすれ違い相談”の話をさせてください。
この記事の結論は、知識だけで言うならシンプルです。日本では一般的に左手の薬指。
でも、私が現場で何度も見てきたのは——「左手薬指が正解」と知った瞬間から、夫婦が苦しくなるケースでした。
実際にあった相談:『指輪を外す夫が、もう私を大事にしてない気がする』
相談に来たのは結婚2年目の奥さま。手元にはピカピカの結婚指輪。けれど隣のご主人の薬指は、いつも空っぽでした。
彼女は小さな声で言ったんです。
「夫が指輪をつけない日が続くと、“私だけが結婚を大事にしてる”みたいで、苦しくなる」
話を聞いていくと、彼女が本当に欲しかったのは「指輪」ではありませんでした。
欲しかったのは、“私は選ばれている”という安心。
一方、ご主人は悪気なくこう言いました。
「仕事で危ないし、なくすのが怖い。気持ちは変わってない」
ここで起きていたのは、愛が減った問題ではなく、愛の表現と言語がすれ違っていた問題だったんです。
私がその相談でやったこと:指輪を「愛のテスト」から「生活の設計図」へ戻す
① まず“責める会話”を止めて、“翻訳する会話”に変えた
彼女の口ぐせは「なんでつけないの?」でした。これ、言いたくなる気持ち、痛いほどわかります。
でも相手の耳には「あなたはダメ」と聞こえやすい。
そこで私は、言葉をこう置き換えてもらいました。
会話の置き換え(実際に使った例)
NG:「なんでつけないの?」
OK:「指輪がないと、私が選ばれてる感じが薄れて不安になる日がある。あなたの気持ちはどう?」
たったこれだけで、空気が変わります。責める→共有するに変わるからです。
② “事情”と“気持ち”を同時に扱った
次に、ふたりにこう整理してもらいました。
- 事情:仕事上の安全、紛失リスク、衛生面(外す必要がある)
- 気持ち:外しているのを見ると寂しい、不安になる(安心が欲しい)
事情は尊重する。気持ちは否定しない。これができると、勝ち負けの議論が消えます。
③ ルール化して“安心を自動化”した
最後に、ふたりに決めてもらったのが「運用ルール」です。
ポイントは、感情が揺れるたびに毎回話し合うのではなく、安心が勝手に回る仕組みを作ること。
- 平日(仕事の日):夫は外す。外したら必ず定位置(玄関の小皿)に置く
- 休日:基本つける(外すなら一言「今日は作業あるから外すね」)
- 親族の集まり・記念日:つける(写真にも残す)
- もし紛失したら:責めない。まず一緒に探す。再購入は予算を決めて話し合う
これを決めた瞬間、奥さまの表情が明らかに変わったんです。
「外すこと」自体が問題じゃなくて、外した時に“何も言われないこと”が不安だったと気づけたから。
そしてご主人も、こう言いました。
「つけないことで傷つけてたと思わなかった。言ってくれてよかった」
この相談からわかったこと:指輪は、夫婦の“安心の翻訳機”になれる
結婚指輪は、愛の証明というより——迷子にならないための、ふたりの目印。
でもその目印は、「左手薬指」という正解で固定されるものじゃありません。
文化も、仕事も、体質も、夫婦の形も、みんな違うから。
大事なのは、「つける/つけない」で相手を測ることじゃなく、指輪に込めたい安心を、言葉にすること。
そして、言葉にした安心を、生活のルールとして形にすること。
最後に、あなたへ
今日、薬指を見たときに少しだけ不安がよぎるなら、指輪を責める前に、あなたの心を抱きしめてあげてください。
その不安は、あなたが弱いからじゃない。大事にしたいものがある人のサインです。
そして大丈夫。夫婦の安心は、ふたりで“合意”に変えられます。
情報ソース(参考文献)
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国立国会図書館レファレンス協同データベース:結婚指輪を左手薬指につける由来(辞書・百科事典記述の案内)
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国立国会図書館レファレンス協同DB:国によって右手薬指文化もある(出典案内)
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Visible Body:医療神話の整理(vena amorisは存在しない)
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Africa Check:薬指だけが心臓につながる、は誤り(ファクトチェック)
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結婚スタイルマガジン(NIWAKA):結婚指輪の着用割合(アンケート紹介)
注意書き
本記事は一般的な文化・慣習・参考情報をもとに構成しています。結婚指輪の着用位置や運用は、国・宗教・職業上の安全規定、肌質、ライフスタイルにより最適解が変わります。指の腫れや痛みが強い場合、無理に指輪を外そうとせず、必要に応じて医療機関や専門店へ相談してください。結婚指輪は「正しさ」よりも「ふたりが安心して暮らせる合意」が最優先です。



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